―――  マスク 2 ――― 





 「真山さん、社長の来週スケジュール印刷しといてくれる?」
水城の声にマヤはデスクの上のパソコンからファイルを出した。
ぎこちないマウス操作であったが、秘書三日目言われた事は出来るようになっていた。
「印刷出来たら社長に持って行ってくれるかしら。あっ、そうそう。コーヒーも一緒に」
「はい」
マヤはにっこりと微笑んだ。マヤが淹れたコーヒーが速水に好評ですっかりコーヒー番になっていた。
マヤは印刷したスケジュールをクリアファイルに入れて、給湯室に行く。
「速水社長が紅天女から手を引いたって本当なの?」
その声は給湯室の方から聞えて来た。マヤは足を止め、声に耳を貸す。
「そうなのよ。さっき専務にそうおっしゃってたの」
「紅天女といえば大都芸能の悲願でしょ?特に会長と社長はその事に情熱を燃やしていたじゃない」
「もう紅天女を追いかける理由がなくなったと言われていたわ」
「理由がなくなった?つまり社長にとって価値がなくなったという事かしら」
「私たちにはわからないわ。あっ、専務にお茶をお出ししないと」
「私も常務にお茶を届けないと」
給湯室から二人の秘書が盆の上に茶を乗せて出て来た。
マヤは二人と視線が合うと頭を下げた。動機が早くなる。
速水にとって紅天女が価値のないものになったなんて、そんなの考えられない。
マヤは社長室に向かって走り出した。
今すぐ速水に問いただしたかった。しかし、扉の前まで来るとマヤは勢いを失った。
聞くのが恐かった。もしも、さっきの秘書たちの話が本当だったら、自分は速水にとって
価値のない人間になってしまう。たった一つ残された速水との絆を失う事になってしまう。
どうしたらいいのだろうか。
ため息がこぼれる。
マヤはドアを叩こうと振り上げた手を下ろし、来た道を戻るしかなかった。
それから淡々とマヤは秘書としての業務をこなした。
気づけば、昼休みになっていた。速水に本日二杯目のコーヒーを持って行くと、速水は数名の社員たちと話をしていた。
マヤの存在なんてまるで視界に入っていないように見え、何だかいじける。
今朝もそんな感じだ。速水は今日は一度もマヤと視線を合わせていない。
マヤの秘書としての仕事は書類を届けたり、来客を案内し、お茶を用意する事ぐらいしかないから、
速水と直接話す用事もなかった。
それは仕方のない事だとわかっているが、何だか寂しかった。
「失礼しました」
コーヒーを置くとマヤは社長室を出て行った。
「元気ないじゃない!ミスでもしたの?」
妙に明るい男性の声で話しかけられ、マヤは顔を上げる。
「近藤さん」
「良かったら、お昼一緒にどう?」
「えっ、はい」
近藤の勢いに押され、つい返事をしてしまう。
それからマヤは近藤と一緒に屋上にあがった。
マヤは持参した弁当を持ち、近藤はコンビニの袋を持っていた。
大きな雲が青空に広がっていた。少し暑かったけど、風が心地よく感じられた。
ベンチに近藤と並んで座ると、マヤは水筒を口にした。中身はウーロン茶だ。
近藤はアイスティーを飲んでいた。
「まだ夏の空ね」
近藤が眩しそうに空を眺める。
「そうですね」
マヤは弁当箱の中の玉子焼きを箸で掴む。
「それでどうしたの?その梅雨に戻ったみたいな顔は」
箸を止め、近藤に視線を向けた。ピンク色のワイシャツをひじの所まで捲り上げていた。
「紅天女」
ぼそりと低い声で、単語を口にする。
「紅天女?」
「速水さんにとってもう価値のないものになったという話を聞いたんです」
「ふーん。それであなた落ちこんでるの。別にいいじゃない。大都芸能でなんて絶対上演しないつもりだったんでしょ?」
「そんな事は」
マヤは俯き、膝の上の弁当箱の中を見下ろす。ハンバーグと、玉子焼きがぶかっこうな形になっていた。
それはマヤが自分で作ったものだ。
「確かに昔はそのつもりでしたけど、今は違います」
マヤはパクリと玉子焼きを食べる。
「どう違うの?」
「速水さんは私の恩人なんです」
玉子焼きを勢いよく咀嚼しながら答えると、ゴクリと飲み込んだ。
「だから、私は速水さんが望むなら上演権を差し上げようと思っているんです。
それぐらいしか、私が速水さんに出来る事がないから」
「でも、もう社長にとって紅天女は価値がない。だから、落ち込んでるのね」
「はい」
「その話、社長から聞いたの?」
「いえ、秘書の人が話していたのを立ち聞きしただけです」
「だったら、ただの噂じゃない。直接聞きいてから落ち込みなさいよ」
「聞けませんよ」
「どうして?」
「だって、本当だったら恐い」
「社長にとって価値のない人間になる事が恐いの?」
近藤の言葉に涙ぐみそうになる。
「私と速水さんのつながりは紅天女しかないですから。速水さんが紅天女をいらないと言ったら、
私も速水さんにとっていらない人間になってしまう」
語尾が涙で震えていた。マヤは唇をキュッとかみ締め堪えると、涙を指で拭った。
「いらない人間だなんて酷い事言うのね」
近藤がマヤの頭を撫でる。
「社長が簡単に人を切り捨てる人に見える?あなたが好きになった人はそこまで非情な人だと思うの?」
俯いたままマヤは近藤の言葉に耳に傾ける。
「つまらない事で悩まない事よ。おちびちゃん」
ポンポンと近藤がマヤの頭を叩く。
「おちびちゃんはやめて下さい」
「あら、社長にそう呼ばれてたんじゃなかったかしら」
「ち、ちびちゃんです」
近藤がぷっと笑い出した。マヤもつられて笑う。
青空の下、二人の笑い声が重なっていた。



 午後は速水についてマヤも外に出ていた。
車の後部座席には水城と速水が座り、マヤは助手席で二人の会話を聞いていた。
淡々とした様子で進む会話に、時折笑い声が混じる。速水が水城に強い信頼を持っているからだと思った。
マヤもその会話の中に入りたいと思うが、秘書三日目の彼女にはとても社長の速水に自分から会話をする勇気はなかった。
少し水城がうらやましいと思う。
「はぁ」
マヤは小さくため息をついた。
窓の外には午後二時の日差しがあった。
「いい天気だな」
後ろから速水の低い声が響く。
ルームミラー越しにマヤはちらりと速水を見た。
紺色のスーツに白いワイシャツ、ドット柄の青いネクタイを締めていた。社を出る時に着替えていたので、
朝見たのとは違うスーツだ。ため息が出る程似合っているなとマヤは思う。
どうしてこんなにカッコいい人が魂の片割れだと思うのだろうかと思う。
美人でもないし、ちびで、演劇しかとりえのない自分は速水につりあっていない。
それに引き換え、速水の婚約者の鷹宮紫織は美人で、優しそうで何でも出来そうに見えた。
誰が見ても美男美女のカップルで、お似合いだと思う。そんな事を思うとまた、深く落ち込んだ。
更に深いため息をついてしまう。
「真山さん、どうしたの?」
水城の心配する声がした。
「えっ、いえ何でもありません」
マヤは助手席から後部座席に向けて顔を出す。そのタイミングで速水と今日初めて目があった。
「水城君にしごかれ過ぎたか」
クスクスと速水が可笑しそうに笑う。
「そ、そんな事は」と消えそうな声で答えると、マヤは前を向いた。
緊張と恥ずかしさで胸がいっぱいだった。
「そうだ。水城君。予定が一つ変更になったんだろう?」
「えぇ。はい」
「じゃあ、その時間は俺の自由に出来るよな?」
「そうですね。一時間ぐらいでしたら」
「鈴木さん、近くの公園でいいから寄って欲しい」
運転手に向かって速水が言う。
「かしこまりました」
白髪の混じる運転手が緊張気味に答えるのをマヤは聞いていた。
 車は交差点を左折した。ビルが並ぶ中、緑で埋まる一角をマヤは目にした。
公園内の駐車場に黒いレクサスが停まる。
「散歩に行って来る。一時間後には戻る」
「真山さんを連れて行って下さい。社長お一人だと戻って来ないかもしれませんから」
「信用ないな」
速水が小さく笑う。
「そういう訳だから、真山さん、社長のお供をしてくれる?」
「あっ、はい」
「では、いってらっしゃいませ」
水城に見送られ、マヤは速水と一緒に車を降りた。
冷房のよく効いた車内とは違い、外は生温かく感じられた。
9月の始め、まだ夏の暑さがあった。
「暑いな」
マヤの隣を歩く速水が呟く。
マヤは小さく「はい」と相槌を打った。
汗でマスクが流れてしまったらどうしようと心配になる。
なぜよりによって自分を水城は指名したのかと思う。
「あそこなら、少しは涼しくなるかもな」
速水の視線を追うと池があった。何隻かのボートが池の上をゆっくりと動いていた。
「付き合いなさい」
そう言うと速水はマヤの手を取り、ボート小屋に向かって歩き出した。
不意に握られた手の感触に、マヤは息が止まりそうになった。
大きな手だった。骨ばった感触と、手の平の厚みを感じた。
「さあ、乗ろう」
速水に促され、マヤはボートに乗る。速水も向かい合うように座ると、ボートを漕ぎ出した。
ボードが揺れて、池の上をゆっくりと動き出す。
こうして速水とボートに乗ったのは二度目だと思わず、口に出しそうになった。
「やっぱり池の上の方が涼しい」
ボートを木陰の辺りまで動かすと、速水は漕ぐのをやめ、周囲の景色に視線を向けた。
池を囲むように木々が立っていた。それは桜の木だ。春には池の周りがピンク色で染まると、
ボード小屋の管理人が教えてくれた。
池の上に視線を向けると、鴨の親子が気持ち良さそうに泳いでいた。
マヤは思わず「かわいい」と呟く。
「鴨か」
速水も池に視線を向ける。
「確かにかわいい眺めだ」
クスッと速水が笑う。柔かな表情だ。
「しゃ、社長は、よくボートに乗るんですか?」
速水と視線が合い、びっくりしながら、言葉をつむぐ。
速水はマヤをしっかりと見つめ笑う。
「公園のボートは二度目かな。最初に一緒に乗った子は凄く俺を嫌っていたから、無理矢理乗せたんだ。
いつも俺の事をゴキブリか何かを見るような目で見るんだ」
クックックッと速水の笑い声が響く。マヤはカァーっと体中が熱くなる。
「どうして、そんな人と一緒に乗ったんですか?」
「面白いからだ」
「面白い?」
「そう。彼女はね。からかうとすぐムキになる」
速水の言葉にムッとなる。マヤは眉を微かに上げた。
「社長も人が悪いですね。その子をいじめて楽しいんですか」
「あぁ、楽しいね。彼女のぷっと膨れた顔を見るのは実に愉快だ」
「社長はいじめっ子なんですね」
「そうだな。好きな子はいじめたくなるタイプだな」
「好きな子?」
マヤが黒々とした瞳を見開くと、速水は静かに笑う。
その笑顔は物寂しそうに見えた。
「今日は空が高く見えるな。秋が近いのかもな」
速水が目を細め青空を見上げる。その横顔にもう笑みはなかった。
「あの鳥のように俺も飛べるだろうか」
颯爽と翼を広げ、一匹の鳥が空を飛んでいた。
それを見つめる速水の周りには冷たい空気が流れていた。
「会いたいな」
鳥の鳴き声にかき消されそうな程、小さく速水が呟いた。
「えっ」
マヤは瞳を大きくする。速水は曖昧な表情を浮かべた。
「そろそろ戻るか」
再び速水がボートを漕ぎ出した。ボートのまわりに波紋が出来る。
マヤはそれをじっと見つめていた。



 午後十時。秘書課にはマヤと水城しかいなかった。
速水は社長室で仕事をしていた。
「もう、こんな時間なのね」
パソコンのディスプレイから水城がマヤの方に顔を覗かせた。
「真山さん、もう帰って大丈夫よ」
「いえ、社長がまだいらっしゃいますから」
「社長に合わせて帰っていたら、帰れなくなるわよ」
水城が口元を上げると、赤いルージュが半円を描いた。
「私はそろそろ失礼するわ」
水城はパソコンの電源を切ると、デスクから立ち上がった。
「それじゃあ、お疲れ様」
「お疲れ様です」
マヤはお辞儀をする。水城のヒールの音がコツコツと響いた。
「終電がある内に帰りなさいよ」
戸口まで来ると思い出したように水城が言葉をかける。
「はい」
「じゃあ、また明日ね」
優しい笑みを残して水城は秘書室から姿を消した。
マヤは再びパソコンのディスプレイに視線を向けると、明日の速水のスケジュールを確認した。
朝から晩までぎっしりと予定が詰まっていた。少しでも速水にゆっくりしてもらいたいと思う。
何とか時間のゆとりはないかと、ずっと探しているが、完璧に組まれたスケジュールに穴なんてなかった。
「優秀な秘書なら、予定を組み直す事ができるんだろうな」
ため息が出る。昼間一緒にボートに乗った速水は少し疲れているように見えた。
口には出さないが、どこか思いつめたような、張り詰めたような雰囲気があった。
笑っていても、速水は本当には笑っていない気がした。
 社長室の方に視線を向けると、ドアの向こうで仕事をしている速水を思った。
午後八時に社に戻ってから、誰かと電話していたり、書類に目を通したりと忙しそうだ。
マヤは意を決したように立ち上がると給湯室に行き、コーヒーを淹れた。
今日、5杯目のコーヒーだ。速水が好きだと言ってくれたコーヒーで、少しでも癒したいと思う。

トントン。

木製のドアが硬質な音を響かせた。
「どうぞ」
速水の声に「失礼します」と言って、マヤは社長室に入った。
「コーヒーをお持ちしました」
一歩社長室に入ると、マヤはお辞儀をした。
「丁度飲みたかったんだ。ありがとう」
机の上に白いコーヒーカップを置くと、速水に言われた。
「君が淹れるコーヒーは美味しい」
コーヒーを口にすると、速水は表情を緩ませた。その顔が見れただけでも良かったと思う。
秘書として少しは役に立てているようだとマヤはホッとした。
「明日のスケジュール表もお持ちしました」
それは水城に渡すように頼まれていたものだ。
「明日もいっぱいだな」
スケジュール表を目にすると速水が苦笑する。
「すみません。もっとゆとりがあるように組めればいいのですが」
「君が謝る事ではないよ。忙しいというのはありがたい」
「あの、社長」
「うん?」
「紅天女から手を引いたというのは本当なんでしょうか」
近藤と話してスッキリしたが、速水を目にするとやはり気になっていた。
速水の表情が険しいものに変わる。
「どこでそれを聞いたんだ?」
「それは、その」
マヤの声が小さくなる。マヤは何て言ったらいいかわからず視線を落とした。
速水のため息が聞えた。
「もう噂になっているのか。秘書たちはおしゃべりなんだな」
速水は呆れ顔を浮かべると、頬杖をついた。
「すみません。余計な事でした」
「その通り。余計な事だ。一社員に話すべき事柄ではない」
「本当にすみません」
マヤは深く頭を下げると、ドアに向かって歩き出す。
「待ちたまえ」
背中に声が掛かる。
「何でしょうか?」
速水の方を振り向くと、手招きされた。
マヤは速水に近づく。
「もう少し近くへ」
机の前まで進むと、突然ぐいっと腕を掴まれた。
速水の上に座るような形でマヤは倒れると、速水はマヤの顎を親指で上げ、自分の方に向けさせる。
次の瞬間決まりきった展開のように二人の唇が重なった。
速水の唇は何度も何度も重なる。
キスとキスの間に二人の吐息が漏れる。体の芯が熱くなり、マヤは何も考えられない。
マヤは拒む事もせずに完全に身を速水に預けた。
コロンと煙草の混じった香りは一層マヤの身を焦がした。
速水の腕はきつくマヤの体を包み込み、抱きしめた。
速水が自分にこんな事をしているなんて信じられない。何がどうなっているのか。
これはもしかしたら夢かもしれないと思う。
夢でもいい。一瞬でもいい。恋焦がれた速水が抱きしめてくれるのなら、その夢の中に浸っていたい。
速水に愛されるなら何でもいい。そう思った瞬間、速水が抱きしめ、キスをているのはマヤではなく、真山にしている事に気づく。
体中が凍りついたように動けなくなった。指先が冷たい。血が引いていく気がした。
そして、速水に触れられる度に嫌悪感が増していく。
限界に達すると、マヤは平手で速水の頬を力いっぱい引っ叩いた。
乾いた音が室内に響く。
「いきなり何するんですか!」
「何って、キスだ。急に君が欲しくなった」
少しも悪いと思った様子なく、速水が答える。速水は右頬をさすっていた。
「君は俺の秘書だろ?」
「な、な、何を」
「これも秘書の仕事のうちだ」
速水がいやらしく笑う。マヤは再び手を振り上げると反対側の頬も平手で叩いた。
速水の唇から血が流れた。
「最低!社長がそんな人だとは思わなかった!」
マヤは駆け出した。涙が溢れて来る。あんなに恋焦がれた人が最低な男だったなんて
知りたくなかった。



 翌日の午後八時。重たい気持ちをひきずって、マヤが出社すると大都芸能社の前には多くのマスコミがいた。
所属タレントの誰かがスキャンダルでも起こしたのだろうかと、一瞬思ったが、そうではない事を会社の中に入って
すぐに知った。
「速水社長が辞職したというのは本当なのか?」
エレベーターに乗った時、誰かの声がそう言った。
マヤは二十階にたどり着くと、社長室に向かって走った。
「真山さん」
ドアを開けると、水城が机の側に立っていた。
「水城さん、速水さんが辞職したって本当なんですか?」
「えぇ。本当よ」
「どうして」
「全ての責任をおとりになったのよ」
「責任?」
「鷹通グループとの業務提携を破綻させた責任よ。真澄様は婚約を解消したの」
「えっ」
マヤはこれ以上ない程瞳を見開いた。
「今日これから臨時の役員会が開かれ、新しい社長が決まるわ。ボスが代わるけど大丈夫かしら?」
水城の声が遠くなる。マヤは思考が停止した。
頭の中が白くなる。
「真山さん、聞いてる?真山さん、真山さん、マヤちゃん!」
水城がマヤの両肩を掴み体を揺らしていた。マヤはハッとしたように水城を見た。
「速水さんは今どこにいるんですか?」
「記者会見の準備中よ。隣のホテルにいらっしゃるわ」
水城の言葉を聞くとマヤは走り出した。
「マヤちゃん、どこに行くの?」
「速水さんに会いに行くんです」
「ダメよ。今は会ってはダメ」
「どうしてですか?」
「社長がマヤちゃんに会いたくないとおっしゃったからよ」
「私に会いたくない?」
では、どうして速水は婚約を解消したのか。マヤの気持ちに応えてくれたのではないのか。
わからない。全てがわからない。速水が何を思ってるいのかマヤには全くわからなかった。
マヤは社長室の窓にうつる二十階建てのホテルを見つめながら、思考を巡らしていた。




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