【前書き】

「美幸」を読んで頂きありがとうございます。この作品は昨年ラブスートーリー大賞に投稿した作品になります。

原稿は縦書きで書いたものを今回ホームページ用に横書きに直しました。
読みづらい箇所や誤字脱字等があると思いますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。


Cat
2013.1.13





―――  美  幸(みゆき)  ――― 


序章 妊娠






 二十三年生きて来て初めてレディースクリニックに来た。
住んでいる場所から電車で三十分の所だ。真新しそうな薄いピンク色の建物の中に入ると、
ホテルのフロントのような受付が出迎える。ロビーには豪勢に薔薇やカーネーション、大輪のユリが飾られ、
入り口の側には洒落た螺旋階段とシャンデリアがあった。病院というよりもホテルかサロンのような所だ。
受付で保険証出して、産婦人科を希望する。係の人に産婦人科の場所を教えてもらい、足早に廊下を歩く。
突き当たりまでいった所で左に曲がると、産婦人科の受付が目に入った。
 待合室には軽快なクラッシックがBGMとして流れている。おそらくモーツァルトの交響曲である。音楽の
授業で誰もが聴いた事があるような曲だ。何かの本でお腹の赤ちゃんにモーツァルトを聴かせると頭の良い
子になると書いてあったのを読んだ事がある。もしかして、そういう事だろうか。
 産婦人科の受付に行くと私より若そうな看護師が問診表を手渡す。
私は壁際の白いソファに腰を下ろし、それらの項目を埋めていく。未婚という欄に丸をした時何か後ろめたい
気持ちになった。
 問診表を受付に提出し、周りを確認するように見る。
お腹の大きな女性が二人と、幼稚園の制服を着た子を連れた女性が一人いた。みんなゆったりとソファに座り、
雑誌を読んでいる。マガジンラックには「ぴよたま」「赤ちゃんクラブ」などの赤ちゃん雑誌が並んでいた。
他にはマタニティ用のファッション誌が一冊あった。私はどれも見たくない。
不意に幼稚園生の男の子と目があった。彼が私を見ると無邪気な笑みを浮かべる。私は表情一つ変えず、
すぐに視線を逸らした。別に子供が嫌いという訳ではない。ただ今はそんな心のゆとりがないのだ。
この場所で私一人だけが異質な存在だった。黒い服を着て、人の視線を恐れている。
「高木美和子さん」
アナウンサーのような礼儀正しい声で呼ばれる。私は再び受付に行く。
「えっと今日は妊娠の検査という事ですね」
さっきの看護士が提出した問診表を見ながら話す。
その声が待合室の人たちの耳にまで届きそうに感じられ、私は不快になる。
「はい」
小さく返事をすると、血圧と尿検査の支持を出された。
指示通り近くのトイレに行くと検尿コップが置いてあり、尿を採るとトイレの中にある小窓に出した。
血圧は待合室の隅に置かれた自動の血圧計で測り窓口に出した。
「では、お掛けになってお待ち下さい」
さっきの若い看護士に言われ私は白いソファに腰を掛けた。自分が惨めに思えた。
本当だったらこういう場所にはもっと幸せな気持ちで来るはずだ。
今来た目の前のカップルを見て、私は胸が妬けた。



 一ヶ月半前、私はカフェで婚約者の北川幸太を待っていた。
先にカフェに着いたのは私だ。彼の職場から近い千葉駅の駅ビルの地下にその店は入っていた。
店内は白を基調としたフレンチカジュアルなテイストでBGMに薄くボサノバが流れている。
月曜日の午後6時、OLやサラリーマンよりも学生が多い。
レジから一番遠い奥の席に案内され私は自分の隣の椅子に紙袋を置いた。
中身は六十セット分の手作りの招待状だ。宛名も一枚ずつ手書きで書いた。
それを今日彼と確認する事になっている。
 ウェイトレスが注文をとりに来るとアイスコーヒーを頼む。今日は暑かった。
6月に入り季節は夏の顔を見せ始めている。私たちの結婚式は八月十一日だ。
彼の仕事がひと段落するのが八月だったので、そこに決めた。母からは夏に結婚式なんて嫌だと
言われていたが仕方ない。
メニューを見るとチョコレートパフェが目に付く。
その店のパフェは普通のパフェの三杯分ぐらいあって、いつか挑戦してみたいねと、幸ちゃんと前に
会った時に話した。今日挑戦しようと言ったら幸ちゃんは何て言うだろう。そんな事を思うと笑みが浮かぶ。
待ち合わせの時間は午後6時半だ。
昨日買ったばかりの文庫本が読みたかったので早めに来た。幸ちゃんにプレゼントしてもらった
バーバリーのショルダーバックから私は本を取り出した。
今読んでいるのはラブコメディだ。結婚式の準備を控えた男女の話で、主人公の二人はかさ張る
事を避けたくて、引き出物はカタログギフトだけで決めてしまうのだが、そこから両家の戦争が勃発する。
女の家は絶対鰹節と鯛の尾頭付きを入れなければならない。男の家の方は赤飯と名前入りの皿を
入れなければならない。そして、引き出物の数も夫婦で一つという女の家に対し、男の家は夫婦に
二つと個数まで変わって来て主人公の二人は今頭を抱えているのだ。
そこまで読んで笑ってしまうが、日曜日に親も同席した結婚式の打ち合わせがある事を思い出した。
そして、まさにその引き出物を決めるのだ。
「大丈夫かな」
注文したアイスコーヒーが目の前に来ると、私は小説から目を離した。幸ちゃんのご両親は優しい感じで、
物分りが良さそうに見えたが、うちの母はいちいち煩い。それに頭が固い。自分の価値観が常に正しく、
他人の言う事に耳なんて貸さないぐらいの人だ。ため息が出る。
 視線を店内に向けると見慣れた紺色のスーツ姿が視界に入る。
身長は私より十センチぐらい高くて、体型は痩せているというよりは締まっている。
彼は寝る前に毎日腹筋と、腕立てをかかさない。
その習慣は学生の頃から続いていると言っていた。
「こっちだよ」
店内をキョロキョロしている彼に私は手を上げた。
茶色のセルフレームの眼鏡の奥が私を見る。真っ直ぐ私を見る瞳と目が合うと私は耳が赤くなった。
彼が微かに笑う。その瞬間ふわっと柔らかい気持ちが私の中に溢れる。
この人の事が好きだ。顔を見るたびにそう思う。
「久しぶり」
目の前に座る幸ちゃんに私は声を掛ける。
今日は水色のストライプ柄のワイシャツに黄色いネクタイを合わせていた。
「久しぶりって、そんなに会ってなかったっけ?」
鞄を隣の椅子に置きながら幸ちゃんが私を見る。
「十日も間が空いたんだよ。しかも電話もなかったし。久しぶりだよ」
私は会えなかった文句を口にする。
幸ちゃんは大阪に三日日間の出張だった。その上福岡の親戚が亡くなったとかで大阪の次は福岡
に行っていて、帰って来たのは昨日だ。私はその事を全部彼からのメールで知る。
「さあ、いろいろ話し合う事あるよ。まずは招待状の確認をしてね。幸ちゃんにもらったアドレス帳見な
がら書いたけど、漏れている人はいない?」
私は椅子に置いていた紙袋をテーブルの上に置く。
「もう、見てよ。大変だったんだからさ」
招待状を一通出すと自慢するように幸ちゃんの目の前に置いた。
二人で材料は買いに行ったが、作ったのは私だ。
「あぁ。凄いな。よく出来てる」
幸ちゃんが琥珀色の封筒を開けて招待状を出した。見開きのカードになっていて、挨拶文の下に天使
の絵が描いてある。元々絵を描くのが好きだったので、パソコンを使って私が描いたオリジナルエンジェルだ。
一人は丸い顔にピンク色のリボンをしていて、
もう一人はナスみたいに面長で眼鏡をかけている。
「この天使、美和子にそっくりだ」
「いつも幸ちゃんに丸顔って言われるから、思いっきり丸く描いたよ。
幸ちゃんもそっくりでしょ。私が見た幸ちゃんってこんな感じだよ」
「俺、こんなに面長かな」
幸ちゃんはなぜか丸顔に憧れがあるみたいで、小学生の時、自分は丸顔だと信じていたらしい。しかし、
それはただ太っていたから丸くて、痩せてみると面長の顔になってショックだったといつも聞かされる。
「うん。面長だね」
私の答えを聞くと落ち込むように幸ちゃんがため息をつく。
タイミング良く幸ちゃんが注文したアイスレモンティーが運ばれて来た。
幸ちゃんは無表情のままストローでぐるぐると中に浮かぶ氷を混ぜる。
それはいじけた時の動作だという事を付き合ってから知った。
私より七歳年上のくせにそういう所が子供っぽいのだ。
でも、私はそんな幸ちゃんが好きだ。
「幸太君、顔がいじけているよ」
私はそう言うと鞄から手帳を取り出し、挟んでおいたたんぽぽシールを幸ちゃんの前に出した。
「ねぇ、見て。これさっき上の雑貨屋さんで見つけたの。可愛いでしょ」
幸ちゃんはたんぽぽが好きなのだ。落ち込むと道端に咲いているたんぽぽを見ている。
「へぇ。こんなのあるんだ。可愛いね」
幸ちゃんがシールを手に取り笑う。
「さっき思いついたんだけど、このシール招待状に貼ろうよ。二人でやればすぐ終わるよ」
幸ちゃんの顔から突然笑みが消える。手にしていたたんぽぽシールを置くと俯いた。
「……美和子といると楽しいな」
周囲の騒音にかき消されそうな声で幸ちゃんが呟く。
「えっ」
幸ちゃんの言葉の意味が私にはよくわからない。
「美和子、ごめん。俺結婚できなくなったんだ」
幸ちゃんが頭を下げる。
「えっ」
私は訳がわからず眉を潜めた。
「こっちだ」
幸ちゃんが私から視線を外し、入り口の近くを見ると、レジの側の席に座っていた女性が立った。
ゆっくりと歩いて来る。モデルのような綺麗な動きだった。
「こちら、橘 香織さんだ」
橘香織が私を確認すると頭を下げる。私と同じ年ぐらい見えた。
白いワンピースを着ていて嫌味なぐらいスタイルがいい。
「何なの?」
突然見知らぬ人が現れて私は動揺する。
もう何が何だかわからない。手が震える。
「彼女のお腹の中には赤ちゃんがいる。俺の子だ」
その言葉が幸ちゃんから出たものだと思えなかった。
「な、何、言っているの?」
幸ちゃんを見ると隣に座る橘香織に視線を向け、
二人でアイコンタクトのようなものを交わしていた。
その数瞬がこの二人の関係が昨日や今日できたばかりの即席の関係ではない事を語っている。
「今言った事は本当の事だ。頼む。別れてくれ。
美和子と結婚するつもりだったけど、俺は香織と離れられない」
幸ちゃんが両手をテーブルに付き、テーブルに付くぐらい深く頭を下げた。
「何?今日はエイプリルフールだった?」
やっと搾り出たのはそんな言葉だった。
少しでもこの場の緊張感をどこかにやってしまいたい。
冗談だよって幸ちゃんが言うのを聞きたい。
「美和子には本当に申し訳ないと思っている」
幸ちゃんが眉を寄せ苦しそうに顔をしかめる。
「当然結婚式のキャンセル料は俺が負担する。美和子に慰謝料として百万円渡す。
だから、それで俺と別れて欲しい」
幸ちゃんが鞄から封筒を取り出し、テーブルの上に置く。
それは幸ちゃんが使っている都市銀行の袋で、袋越しに厚みがわかった。
今、目の前で起きている事が生々しくて、冗談ではない事を私に伝えてくる。
言葉が出てこない。だって幸ちゃんは私だけを愛していて、
いつも、いつも大事にしてくれる。
私の誕生日には必ず休みを取ってどこかに連れて行ってくれる人だ。
「……いつからなの」
私の声は震えていた。
「三ヶ月前だ。彼女は同じ会社の同僚だった。今は違うけど」
幸ちゃんが淡々とした調子で話す。
「同僚?つまり先生だったって事?」
幸ちゃんは予備校で講師をしている。私は幸ちゃんの教え子だった。
「あぁ。そうだ」
「信じられない。先生同士で浮気?よくそんな人として後ろめたい事しながら教壇に立てるわね」
頭に血がカァーっと上る。許せない。
幸ちゃんと私が出会った神聖な学びやでそんな事があるなんて。
「ごめんなさい。幸太さんを好きになった私がいけないんです。
結婚するってわかっていたんですけど、どうしても諦められなくて、
一度だけでいいから抱いて欲しいって言ってしまったんです」
女が涙ながらに訴える。
「それでこうちゃんはエッチしたって訳?」
私の問いにこうちゃんが頷く。その瞬間私の中の何かが切れた。
「一度だけのつもりだったけど、彼女の顔を見る度に愛しくなって、それからは会う度に体を重ねた。
今日も彼女の部屋で……」
そこまで聞くと私は耐えられなくて、グラス半分入ったアイスコーヒーを氷ごと全部幸ちゃんにぶちまけた。
「ふざけるな!私の事なんだと思ってるのよ!こんなものまで作って私一人バカみたいじゃない!」
紙袋に入ったままの招待状を全部幸ちゃんに投げる。
「こんな物入らないわよ!」
テーブルの上に置かれていた銀行の封筒も投げた。
頭に血が上って制御できない。
とにかくテーブルの上にあったもの全部幸ちゃんに投げつけた。
騒ぎを聞きつけ、若いウェイトレスと店長らしき中年の男が現れる。
「お客様、他のお客様の迷惑になりますから、どうぞお帰り下さい」
その言葉に私はキッと店長を睨み、バックを持って店を出た。
涙が止まらなかった。全く幸ちゃんの浮気に気づけなかった自分が悔しかった。




「高木さん、一番診察室へお入り下さい」

待合室で待っているとやっと私の名前が呼ばれた。
壁にかかったプレートを見ると先生は三人いるはずだったが、一時間以上待たされた。
一番と書かれた部屋には「宮崎」とネームプレートが掲げてある。
その名前を確認しながら扉を開ける。
「はい、お待たせしました。どうぞお掛けになって下さい」
三十代後半ぐらいの少しふくよかな男の医者だ。
白いワイシャツに青いネクタイ、その上に白衣を羽織っていた。
「はい」
正直、男の先生だとは思わなかったから、動揺する。
「高木さん、尿検査の結果妊娠の反応が出ました。
もう少し詳しく調べたいので、隣の内診室に移動して下さい」
医者は事務的な調子で口にする。
「はい」
私は言われるがままに診察室の右隣の扉を開けた。カーテンが引いてあり、それを開けると内診台が目に入る。
逃げ出したい気持ちになった。どういう物かは話に聞いた事があったけど、それを目の当たりにした時、
ショックだった。私は近くのバスケットにレギンスと下着を入れ、台に上る。背もたれに体を預け足置き場に
両足を掛けると、側においてあったタオルで下半身を隠した。
「台あげます」
カーテン越しにさっきの男の先生の声が響く。
内診台が機械音を立てながらあがると、足置き場が広がり強制的に開脚されていく。
先生との間にカーテンが引かれているので顔と顔を合わせるは事ない。
しかし、下半身は充分過ぎる程晒されている。もう帰りたい。
「エコー入ります。力抜いて下さいね」
そう言われた瞬間、痛みと下腹部に違和感を感じた。
「モニターに写します」
左側の壁にかかった液晶モニターに映像が映し出される。
「あっ、赤ちゃんいましたよ。ほら、袋があってその中に小さい丸が二つ並んでるでしょ」
私は初めて我が子を目にした。何とも言えない気分だ。
妊娠判定薬が間違っていて欲しいという思いで、産婦人科を受診した。
しかし、今目の前に写る赤ちゃんの姿は私が妊娠している事を認めさせるしかない。
これが二ヶ月前だったら、きっと嬉しい瞬間だっただろう。
今は途方もない不安が広がっている。
「この大きさだと八週目ぐらいかな。心臓も動いているし、正常な妊娠が確認できます」
先生の声は私の気分とは反対に晴れやかだ。
「はい、じゃあ、エコー抜きます」
異物が抜かれると、台を下ろしてもらった。慣れない姿勢でいたので足が痛い。
脱いだものを身につけると、少しずつ恥ずかしさが和らぐが、嫌な気持ちだった。
深呼吸を一つしてから隣の診察室に行く。
先生は何事もなかったように診察室の机の前にいた。
「どうぞ」
立ったままの私に気づくと、先生の前の椅子を勧められる。
「おめでとうございます」
丸い回転椅子に座るとそう言われるが、私は曖昧な笑みしか浮かべられなかった。
こんな時“ありがとうございます”と笑顔で言うのかもしれない。
「妊娠は順調です。予定日はえーと」
先生が机の前に置かれていた表を見る。
「赤ちゃんの大きさと最終月経日から推測すると来年の3月1日ぐらいですね」
赤ちゃんの存在がぐっと具体的になった気がした。私は膝の上で組んだ手に力を入れる。
「あっ、ご結婚はまだでしたか」
先生が問診表を見て気づく。
「ごめんなさい」
先生が申し訳なさそうに私を見た。
「なんで謝るんですか?」
同情するように見られた事が耐えられなくて、反発するように口にした。
「あっ、いや、その」
「私、来月に結婚式を挙げるんです。
籍が入ってなかったのは結婚式が終わってから入れるつもりだったからです」
もちろん嘘だった。気づけば口が動いていた。
「そうでしたか。失礼しました。それはおめでとうございます。
じゃあ、次の検診までに母子手帳を貰って来て下さい。
保健センターに行けばもらえますから。
詳しい事はこの後の助産師との面談でお話しします。
後、これは今日のエコー写真です。どうぞお持ち下さい」
先生が私にペラペラな紙を渡す。写真を受け取ると私は診察室を出た。
 病院から駅まではバスに乗った。私は一番後ろの席に座る。周りには誰もいなかった。
バックからさっきもらった赤ちゃんの写真を取り出す。
白黒の写真の中には袋の中に入った丸い物体が見えた。
よく見ると人間の形をしている。
多分誰もがそれを見て可愛いと思うだろう。しかし、私には不安しかない。
窓の外を見ると茜色の空が広がっていた。
沈むオレンジ色の太陽を見た時、私は泣きたくなる。
私を捨てた北川幸太が世界一憎かった。




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