―――  美  幸(みゆき)  ――― 


ニ章

3 幸ちゃん





 初めてラブホテルに入る。まさか先生とこんな場所に来るとは思わなかった。
きっとこの場所もいっぱいで満室だろうという私たちの予想を裏切り、一部屋だけ開いていた。
「本当にここでいいの?」
先生が確認するように私を見る。
「はい。先生がいいなら」
私の言葉に先生が腕を組んでうーんと唸る。その表情には迷いがあった。
「やだ。先生。そんなに悩まないで下さい。私たちにそんな事ある訳ないじゃないですか」
私はあっけらかんと言い、先生の肩を叩いた。
先生が笑い、無人のフロントで部屋番号のボタンを押すと、鍵が出て来る。
それを先生が取ると私たちは側にあったエレベーターに乗った。
4人でいっぱいになるような狭いエレベーターだった。
部屋は6階の6号室で、ドアを開けると大きなベッドが目に入る。
他にはソファがあって、テーブルがあって、テレビがあってポットがあった。窓は一つも
見当たらない。部屋のスピーカーからは有線が流れていた。
入り口の近くのドアを開けると、トイレと浴室があった。
先生はおもむろにテーブルの上のリモコンを持つとエアコンの温度を調節する。
少し暑かった。
「お風呂入る?」
コートを脱ぎながら先生が口にする。
「えっ」
先生が口にした言葉がやけに生々しく部屋に響く。
「いや、そういう意味じゃなくて。ほら、寒いって言っていたから、温まればって意味で」
そこまで口にして先生が口元に手を当てるとため息をつく。
「困ったな。やっぱりこういう所は落ち着かない」
テレビの前のソファに先生が座る。
先生の背中が何かに迷っているのがわかった。
「先生、ごめんなさい」
結婚している先生を無理矢理連れ込んだのは私だ。
こんな場所に入っただけで先生はきっと奥さんに申し訳なく思うのかもしれない。
涙が流れる。こんな時でも奥さんの事を考えている先生に胸が苦しくなる。
どうして私はこの人を好きなんだろう。報われない恋だとわかっているのに離れられない。
一緒にいたいと思う。先生と一緒にいられるなら本当はコンビニでも良かった。
どこでも良かった。
「どうして泣いてるの?」
ソファから立ち上がり先生が私の側に来る。
「だって、先生が……」
そこまで口にして涙で言葉が埋まり、先生の顔を見た瞬間感情が溢れる。
「高木さん……」
先生が私を抱き寄せる。フワッとコロンの香がする。
「泣かないで。俺は別に怒ってなんかいないし、迷惑だとも思っていないから」
先生が私の髪を撫でる。
「ただ、こんな場所で流されてしまいそうな自分が怖いんだ。俺は高木さんの事を好きだから」
先生の言葉に顔を上げると、私を見つめる真剣な瞳があった。
「ずっと考えてた。高木さんが好きって言ってくれた意味。
そしたら、気持ちが溢れて来たんだ。美和子に会いたいって思うようになって、
今日も終電には帰さないとって思っていたけど、帰せなかった。
本当はこの場所でこうして一緒にいられる事が嬉しい。でも、気を抜くと俺は無理矢理にでも
美和子を抱いてしまいそうで怖いんだ」
信じられない。先生が私を好きだなんて。私は夢でも見ているのだろうか。
「うそ」
思わず口をついた言葉に先生が顔をしかめる。
「嘘じゃない。俺は美和子が好きだ」
ハッキリと口にした言葉に胸の鼓動が早くなる。先生の顔が私に近づく。
あっという間に唇が重なる。何度も何度も重ね、私は耐えるように先生の背中をつかむ。
乱れる吐息に気が遠くなりそうだった。
「……ごめん」
我に返るように先生が唇を離し、私を解放する。
胸がどきどきとしていた。鼓動がすぐ耳元で打ち付けている。
目の前の先生を見つめると、先生も私を見つめ返す。重なる瞳と瞳にまた胸が熱くなる。
「好きです」
私がそう口にすると、先生がまた私を抱き締めてくれる。
「俺も好きだ」
耳元にしっかりとした声で言葉が届く。
体中がカーッと熱くなり、呼吸するのも苦しい程に想いが溢れ、零れ落ちる。
見つめ合う度に先生の気持ちが私の中に入ってくる。すぐに胸の中が好きで埋まってしまう。
「また泣いてる」
先生が私の涙を人差し指で拭う。
「だって、好き過ぎて苦しいから」
見上げた先生が微かに笑う。
「まいったな。そんな事言われたの初めてだ」
「私もこんなに人を好きになったの初めてです」
私の言葉にまた先生がキスをくれる。優しく触れ合う唇からまた好きが溢れる。
それから私たちは何度かキスを繰り返し、ベッドの上で寄り添うよう抱き合う。
先生の胸に顔をうずめ目を閉じると、ハッキリと胸の鼓動が聞こえる。
例え今夜限りの事だとしても、先生を近くに感じられて幸せだった。


 Trrrr・・・。Trrrr・・・。Trrrr・・・。Trrrr・・・。
遠くで電話のベルが鳴っていた。眠たい目をこすりながら目を開けると、「はい」という
男の人の声がする。よく見ると先生だ。先生がベッドサイドの電話に出ていた。
「あっ、起きた?」
電話を置くと先生が私に気づく。先生は昨日のスーツ姿のままだ。
「おはよう。と言っても、もうお昼だけど」
先生が笑う。眼鏡越しの瞳に胸がキュンとした。
「さぁ、十分で仕度して。チェックアウトの時間だ」
「あっ、はい」
私は慌ててベッドから起き上がり、自分で掛けた覚えのない羽根布団を取る。
仕度のできている先生はソファに座ってテレビを見ていた。
バラエティ番組の笑い声が妙に現実感を与える。
今自分がこうしてこの場所にいるのが夢ではなかった事に気づかされた。
 外に出ると陽射しが眩しく感じる。昨夜の雪が僅かに道路の縁に残っていた。
ホテルがあった裏通り沿いを先生と並んで歩く。先生は何も言わなかった。
私は先生とキス以上の事は何もしていない。それは私たちの最後の良心がそうさせたのだ。
ロープ一本の上をギリギリの所で歩いている。足を踏み外せば不倫の海に落ちてしまう。
もうやめよう。これ以上先生といたら、先生を道連れに私はバカなことをしてしまう。
「先生、ありがとうございました」
私は公園の前で立ち止まり、先生を見る。
昨日と同じ紺色のコートを着た先生は今日も素敵に見える。
「私、もう先生には会いません」
私の言葉に先生が「えっ」と声を漏らす。眼鏡の奥の瞳が困惑する。
「先生の事は綺麗に忘れます。だから、先生も私の事忘れて柳田先生の所に帰って下さい」
精一杯の笑顔とともに口にする。泣いてばかりいたから、せめて別れ際は笑顔でいたい。
「じゃあ、さようなら」
私は先生に背を向けて歩き出す。その瞬間、涙の雫が頬に伝う。
心が折れてしまうぐらい辛かった。
「ちょっと待って」
背中に先生の尖った声がかかり、腕を捕まれる。
引き寄せるように先生が私の腕を引っ張り、先生と向かい合わせになる。
「柳田先生って何の事だ?」
眉を寄せ先生が私を見つめる。
「何って先生、柳田先生と結婚しているんでしょ?」
先生の瞳が大きく見開く。その瞳には驚きがあった。
次の瞬間、先生が私を抱きしめる。
「全く何て言ったらいいのか、美和子。それは勘違いだ。
俺は誰とも結婚していないし、結婚した事は一度もない」
「えっ」
先生の言葉に顔を上げる。
「だって、去年柳田先生と結婚したって。それに先生と柳田先生いつも仲良くて……」
「柳田先生が結婚したのは俺と同じ大学の先輩だ。それから彼女も俺の大学の先輩だ。
確かに学生時代からの仲だから、親しく見えるかもしれないけど、
一度も付き合った事はないし、俺たちはそういう間柄じゃないんだ」
「えっ」
「俺、複数の女性に手が出せる程器用じゃないよ。いつでも好きな人は一人しかいない」
先生が真っ直ぐに私を見る。眼鏡越しの瞳が好きだと言っていた。
「さよならなんて言うなよ。俺の事を忘れるなんて言うなよ。
俺は美和子との事これっきりの関係で終りにしたくない」
「私も嫌だ。もう先生と離れたくない」
私の言葉に先生が安心したように笑う。
その瞬間、ぐーっとお腹が鳴る。それは私と先生から出た音だ。
「何か食べに行こうか」
先生が笑う。
「はい」
私が頷くと先生が歩き出す。
「あっ、美和子」
思い出したように先生が立ち止まり、私の方を見る。
そして手を差し出した。
私はその手を取り、先生と手を繋いで歩く。
繋いだ手からまた好きになる。
幸せだった。スキップしたくなるぐらい幸せだった。
昼過ぎの千葉の景色が私にはピンク色に見えた。





 大晦日の日、私は初めて先生のアパートに行く事になった。
新検見川の駅に午前十時に待ち合わせた。
一緒に年を越したいという私の願いを先生が聞いてくれたのだ。
付き合い始めて今日で三日になるが、先生と会うのは両想いになってから初めてだ。
「美和子」
改札を通ると先生が私を出迎える。紺色のダッフルコートにジーパン姿だ。
三日ぶりに会う先生を恋しく思う。
「会いたかったです」
甘えるように先生の側に行くと、先生がギュッと手を繋いでくれる。
「俺も美和子に会いたかった」
先生が笑う。その笑顔にお腹の奥がキュンとした。
「美和子、コートいつもと違うね」
先生が私をじっと見る。会社に行く時はグレーのピーコートを着ていたけど、
今日は私も先生と同じダッフルコートを着ていた。色は赤だ。
「かぶっちゃいました」
「可愛いよ」
先生がポニーテールにした私の頭を撫でる。
「さあ、行こう」
先生が歩き出す。私は先生の後について行った。
階段を下りるとロータリーがあって、ロータリーを囲むようにバス停があった。
「ちょっと寄り道してもいいかな」
先生が目の前の大型スーパーを指す。
「はい」
私たちはスーパーに入った。
先生が慣れたように入り口で緑色の買い物カゴを取る。
「わっ、ここ二十四時間やっているんですか?」
営業時間を見て少し驚いた。うちの近所のスーパーは遅い所で午前一時までだ。
「うん。便利でしょ。いつもここで買い物して帰るんだ」
先生の言葉に会社帰りにスーパーに入る彼の姿が絵に浮かぶ。
彼の生活を知れて嬉しい。
先生に付いて行くとお惣菜コーナーがあった。大きな海老の天ぷらが並んでいる。
「年越しそば用の天ぷらを買おうと思って。午前中に来ないと毎年大晦日はなくなっちゃうんだ」
先生がえび天を二つ近くの容器に入れる。その個数が私は嬉しい。
「もう蕎麦は用意してあるからね」
「はい」
「何か欲しい物ある?」
先生が私を見る。私はその瞬間がいつも好きだ。
身長差十センチの距離は私を時めかせる。
「いえ、大丈夫です」
「じゃあ、行こうか」
先生がレジでえび天と飲み物を買うと、私たちはスーパーを出た。
それから十分ぐらい歩くと、二階建ての水色の建物が見えて来る。
ペンキは塗り替えられたばかりみたいで、築十二年のわりには新しく見えた。
駐車場を通る時、先生が紺色のヴィッツを指して、先生の車だと教えてくれる。
アパートは六世帯分部屋があり、先生の部屋は一階の一番奥だった。
「お邪魔します」
玄関を開けると、廊下があって突き当たりのドアを開けるとダイニングキッチンに出た。
その隣がリビング兼先生の部屋になっている。
大きさは私の6畳の部屋と同じぐらいに見えた。
間取りは1DKで日当たりの良い部屋だ。
「片付いているんですね」
男の人の部屋ってもう少し雑然としているのかと思ったけど、先生の部屋はスッキリしていた。
どちらかと言うと私の部屋の方がちらがっている。
「美和子が来るから慌てて掃除したんだ。さぁ、コタツに入って。
電源は入れたままにしておいたから、温かいよ」
私はコートを脱いで白いセーターにチェックのジャンバースカート姿になると、
部屋の真中に置かれたコタツの前に座り足を入れた。
スカートの下に黒のパンストを履いていたけど、すっかり足が冷えている。
「今コーヒー淹れるよ」
隣のキッチンに先生が立つ。
シンクは壁の方を向いていたので、リビングから先生の背中が見えた。
いつの間にか先生もコートを脱いでいる。その下はこげ茶色のセーターを着ていた。
「あっ、はい」
私は先生の部屋を見回す。
白いレースのカーテンが掛かる出窓の隣には、私の身長よりも高い本棚が置いてあって、
その中は辞書とか、大学受験の参考書とか、
小説が置かれていた。
コタツから立ち上がると、本棚の前に立って背表紙を見る。
夏目漱石、太宰治、宮沢賢治、川端康成、芥川龍之介と国語の先生らしいタイトルが並ぶ。
「先生、大学はやっぱり文学部だったんですか?」
シンクの前に立つ先生に聞く。
「えっ、うん。そうだよ。国語教師としてはストレートでしょ」
先生が両手にマグカップを持ってこちらに来る。
私は再びコタツの前に座り、足を入れた。
私の前に先生がピンク色のマグカップを置く。
先生の趣味にピンクは意外だったので、一瞬前の彼女が使っていたのかと思う。
「美和子が来るから新しく買ったんだよ」
私がじっとマグカップを見つめていると隣に座っている先生が言う。
本当に先生と付き合っているんだと実感して、胸がじーんとした。
「先生、ありがとうございます」
私がそう言うと先生が顔色を曇らせる。何か変な事を言ったのだろうか。
「あのさ、そろそろ敬語止めてもいいんじゃない?」
先生がじっと私を見る。
「俺たち恋人同士でしょ?確かに俺は美和子より七歳年上だけど、
何か他人行儀で寂しいんだよね。その話し方」
先生がそんな風に感じていたなんて知らなかった。
「ごめんなさい。つい癖で」
「それから、『先生』も止めて欲しいな」
「えっ、じゃあ何て呼べば」
ずっと先生は先生だったので、私は困る。
「恋人らしい親しみのこもった呼び方を希望するな」
「親しみ……幸太さんとか」
「まだちょっと固いな。幸太でいいよ。さぁ、呼んでみて」
先生がじっと私に呼ばれるのを待つ。
その表情がちょっと真剣だったから、私は呼びづらい。
「えーと、幸太……さん」
いきなり呼び捨てというのはやっぱり言いづらい。
「だから、さん付けはいらないって」
先生がため息をつく。
その様子にかなり先生がこの問題に対してムキになっていたのがわかる。
年上だけど、可愛い人だ。
「じゃあ、幸ちゃん。ねぇ、いいでしょ?」
伺うように彼を見る。
「そうだな。さん付けよりはいい」
先生が笑顔を浮かべる。
「もう一回呼んで」
「幸ちゃん」
「もう一回」
「幸ちゃん」
「もう一回」
「幸ちゃん」
「もう一回」
「幸ちゃん……何回言わせるんですか」
さすがに四回連続言わされると疲れる。
「ごめん」
先生が下を向いてしゅんとする。外で会う先生とは違った一面を見れて笑ってしまう。
「相当、私に名前で呼んでもらいたかったんですね」
私は先生との距離をつめて彼の肩に頭を置く。いつものコロンの香りがする。
「それはそうだよ。先生と言われる度に何か女子高生と援助交際しているみたいな気分になる」
「私は『先生』って呼び方好きなんだけどな。偶には『先生』って呼んでもいい?」
先生がうーんと悩み、そして渋々OKをくれた。
 お昼ごはんを作る為二人でキッチンに立った。献立はマカロニグラタンだ。
私が材料を切っている間に先生が右隣のガスコンロでホワイトソースを作る。
フライパンの上で牛乳、バター、小麦粉を手際よく混ぜている。
「美和子、野菜大きいよ」
先生が心配そうに私を見る。
「えっ、ははは」
先生の方を気にしていたら、まな板の上の玉ねぎが気づけばぶつ切りになっていた。
先生がため息をこぼす。結局は先生がその後全部作る事になった。
私は邪魔しないように先生に適度にくっついたり、甘えたりしながらその工程を見ていた。
幸せだと思った。こんな風に先生といる何でもない日常が愛しい。まだ三日しか経ってないけど、
ずっと一緒にいたような気がした。


 あっという間に夜が来て、先生が作ってくれた年越しそばを二人ですすった。
定番の紅白歌合戦を見ながら私が持って来たワインを二人で飲む。
除夜の鐘を聞きながら新しい年を迎えると私たちは唇を重ねた。
三日前の記憶が蘇る。もうこれきりだと思って重ねた唇の切なさが胸をしめつける。
先生が唇を離すと、今度は私が先生を引き寄せ、口付ける。
体の芯が熱くなってくる。好きで好きで、呼吸一つするのも苦しくなる。
三日前よりも先生が好きだ。触れ合う度好きが増えていく。
「美和子」
先生の声が耳元にかかる。私たちは床の上に倒れていた。
首筋に先生の唇が触れ、私は小さく吐息を漏らす。
そこで先生が私から唇を離すと起き上がる。
「初詣行こうか」
先生が深呼吸一つして口にする。
「嫌だ。幸ちゃんとくっついていたい」
私も起き上がると、甘えるように先生に抱きつく。
もっと先生を感じていたかった。この間とは違う幸せなキスを重ねたかった。
「幸ちゃんとキスしたい。幸ちゃんは嫌なの?」
真っ直ぐに先生を見つめると、苦笑を浮かべる。
「嫌な訳ないよ。でも、これ以上はちょっと急過ぎる。
このままだとキスだけじゃすまなくなるし、
それに美和子、初めてだろ?だから、大事にしたい。
付き合って三日で美和子の体を傷つけたくない。
だから、こういう事はもう少しゆっくりと時間を重ねてからした方がいいと思う」
幸ちゃんの言葉にこれ以上の行為が浮かび、カーッと耳まで赤くなる。
「でも、いつかはするんでしょ?」
私の問いに先生がうっと小さく漏らす。
「それは、まあ……したいって思うけど」
「だったら今がいい。今幸ちゃんに触れたい。もっと好きになりたい」
私はギュっと先生を抱きしめる。
「バカ、そんな事言ったら本当に我慢できなくなる」
「いいよ。我慢なんかしなくて」
「強引だな」
先生が笑う。
「だって、三年も先生が好きだったんだもん。好きな気持ちに我慢なんかしたくない」
先生と会えなかった三年間がどんなに長くて、重苦しい日々だった事か。
忘れようと思ったけど、忘れられなかった。それどころか恋しさは日ごとに増して、
私は気持ちに押しつぶされそうだった。
「もうあんな辛い想いはしたくないよ」
その時の事を思い出すと、涙が溢れて来る。
「美和子」
幸ちゃんが私を抱きしめる。
「ズルイな。そんな事言われたら、やっと固めた決心が崩れるじゃないか」
幸ちゃんが私を見つめる。
「俺がどんな想いでいるか、わかっているのか」
幸ちゃんの瞳から想いが伝わって来る。
とても真剣な目だ。私はその瞳に捕まって指一つ動かせなくなる。
気持ちが溢れて胸がギュッと押し潰される。
私たちは距離を詰めると。再び唇を重ねた。今度は長いキスだ。
そして、大人のキス。息もできないくらいの激しいキスに頭の奥が白くなる。
幸ちゃんが与えてくれる刺激に体が反応をする。声が漏れる。吐息と吐息が絡む。
「もう引き返せないから」
私を押し倒した幸ちゃんが熱っぽい瞳を絡ませてくる。そして、私たちは沈んだ。




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